I ♥ NY でも I HATE HALLOWEEN

2019/10/30 NOTEでの記事


私の嫌いな季節がやって来た。 それはHALLOWEEN。 アメリカ人も、ここ数年は日本人も大好きなイベント。 私は死ぬほど嫌い。 それには私なりの理由がある。


私が以前勤めていた会社は ハロウィーンが稼ぎ時で 通常の月の10倍ほど売り上げが出たりするので 3か月前くらいから何度も入念なミーティングをし ハロウィーンが終わるその日まで 死ぬほど忙しい日々が続くという地獄の月だった。 セールスの子はコミッションやボーナスが出るのでまだ良い。 私は毎日新しく入荷される大量のコスチュームから小物までの全てをオンライン・ストアに上げるために モデルを探し、時には自らモデルを任命され 一着一着スタイリングを考え毎日撮影をし 大量の写真を編集してアップロードし、ハロウィーン用の広告も作り… といった膨大な作業をたった一人で任されており ただでさえ多かった時間外労働がさらに増えるだけで、遅いと文句を言われ 新聞や雑誌の特集で私が手がけたスタイリングが紹介されお店の売り上げが増えても、私はお給料制で売り上げは反映されなかった為 ハロウィーンはただ忙しいだけで何も楽しくなかった。

アメリカ人はとにかくハロウィーンに全生命をかける。 すでにスタイリングされている、パッケージのコスチュームをそのまま着るだけではなく、パーティに行ってもそこで一番目立ちたい!人と同じになりたくない!という人の為に 特殊メイクからヘアスタイリング、コスチュームから細部にわたる小物まで全身をフルでコーディネイトできるサービスを一つのお店で受けられるような場所はニューヨークでも他になかった為 ハロウィーン当日を含む数日の仕事場はまさにお祭り騒ぎだった。 ポイズン・アイヴィーや、ワンダーウーマン、ゾンビ・ナースやメイドなど伝統的に人気のあるコスチュームから、その年に流行った映画のキャラクターまで、全てを網羅しないといけない上 そこにさらにスタイリングにいくつもひねりを入れないといけない作業は、パーマンやハットリ君、ドラえもんなどの日本のアニメを見て育った非・アメリカ人の私には簡単な事ではなかった。 もとより私は普段からハロウィーンかと見まがうような派手な格好をしていた為、ハロウィーンに張り切ってコスプレをしたい人の気持ちもあまりわからなかったし せっかく可愛いコスチュームを着ても、季節的にコートやジャケットを着ないといけないのも嫌だったし どうして、ヘンテコな格好をするのはハロウィーンじゃないといけないの?と本気で思っていた。 唯一の楽しみは、大好きなニューヨーク・ハードコアのバンドが

毎年ハロウィーンにライブをする為、それに行く事くらいで 正直、ハロウィーンなんてバッカじゃないと思っていた(訂正:今も思っている)。


今年は、彼氏がハロウィーンのイベントで その日の為だけに結成された色んなカバー・バンドが出演するイベントに出るために

何か月も前からその日を開けるように言われていたので なんとなく憂鬱さを感じながらも とりあえずいつもより丁寧にメイクをして

着るコスチュームもないのでとりあえずヒョウ柄のボディスーツと革ジャンを着て あと30分くらいで家を出ないといけないという時に 本当に行くのが嫌になった。 人見知りの私でも4年たって彼氏の友達にもさすがにもう慣れたし 行けばそれなりに楽しいのかもしれないのはわかっているけど 外は霧雨が降っているし 気持ちよさそうにベッドの上でおなかを出して寝ている猫を見ていたら どうしても行くのが嫌になり、何度もかかってくる電話を無視して 具合が悪くなったと 嘘がバレバレのテキストをした。


本当は具合なんて悪くない。 彼はわかっている。


じゃあ、ライブが終わったらそっちに帰るね と返信が来て ホッとしてパジャマに着替えて速攻でシャワーを浴びた。


本当は行ってあげたかったけど 社交辞令で出かけるのが 年々苦手になっている。

アメリカの社会に馴染もうと、必死で日本人らしさを捨てようとしていた時期もあったけど 今の私は日本人であることを最大にフル活用して パーティーの途中でもつまらなければスーッと帰ったり 疲れている時は会話に参加しなかったりして 「彼女は外国人なので仕方ない」と言う事にしている。 面倒な人に絡まれた時は 英語をできるだけ発しない様にすれば 英語がわからない人だと思われて必要以上に絡まれる心配もないし それを知っている仲のいいアメリカ人にはからかわれるけど 本当、「外人」ポジションは使い勝手が楽である。


それを容認してくれている彼氏も 本当にありがたい。 作らなくてもいい、格好つけなくてもいい関係って 恋愛の基本中の基本だけど 大人になってそれが素直にできる相手を探すのって意外にも楽じゃないから こんな気分屋な性質の私を受け入れてくれていて本当に感謝しているので 私も彼氏の嫌な癖などには干渉しない。


アメリカに住む年月が長ければ長くなるほど 日本人というアイデンティティを強く持つようになった。 もちろん、日本にいた頃と比べたら価値観は全然変わっていると思うけど 自分の中にある日本的な部分というものに価値を感じるようになった。 昔から、どうして海外に長く住んでいるアジア人の女性は 長い黒髪に、スッピンや、切れ長の目を強調するようなメイクをするんだろうと思っていたけど 今はまさにそうなっている自分がいる。 どんなにブリーチを繰り返してもブロンドの毛は生えてこないし アジア人はたいてい、同い年のアメリカ人よりも肌がきめ細かいので、それを生かして肌をきれいに見せるシンプルなメイクをしたいと思うようになったし 細かい事に気を使うデリケートな日本的な性格は仕事に役立っているから 絶対になくしたくない。 何年もかかって私がようやくたどり着いた自分を解放する生き方は アメリカ人のように振舞う事ではなく 日本人である自分 そして 良く言えば気分屋、悪く言えば社会不適合者 である自分を認めてあげる事だった。




明日でようやく大嫌いなハロウィーンが終わる。 コスチュームは着ずに、ライブだけ行こうかな。気分が乗ったら。

REIKO LAUPER

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